特別支援の不思議な世界

高校教師だった私が特別支援学校勤務をきっかけに知ったこと考えたこと

発達障害

学習障害(LD)への対処法

学習障害(LD)を理解するためのメモである。高校現場での利用に資するため、岩波明『発達障害の子どもたちは世界をどう見ているのか』(SB新書:2023)によって、学習障害(LD)への対処法の概要をまとめておく。 実際には、学習障害(LD)は一人一人の様態…

学習障害(LD)と教科の授業

学習障害(LD)について理解するためのメモである。高校現場での利用に資するために、岩波明『発達障害の子どもたちは世界をどう見ているのか』(SB新書:2023)によって、学習障害(LD)の子どもたちが小学校の国語・算数の授業で抱える問題について、まとめ…

学習障害(LD)の「症状」

学習障害(LD)について理解するためのメモである。 岩波明『発達障害の子どもたちは世界をどう見ているのか』(SB新書:2023)によって、その「症状」をまとめておく。 [読字障害の症状] 〇文字が歪んで見えたり、重なって見えたりする。 〇似た文字を区別…

学習障害(LD)について

現在の高校の現場には、学習障害(LD)の診断のある生徒やそれと疑われる生徒が多く在籍している。学習障害(LD)について、岩波明『発達障害の子どもたちは世界をどうみているのか』(SB新書2023)によって概要をまとめておく。 学習障害は、Learning Disor…

進化論と発達障害

優生思想は、進化論をベースに、生物の遺伝構造を改良することで人類の進歩を促そうとする社会思想であると考えることができる。ところが、ここには一つの誤謬がある。進化論の創始者であるC・ダーウィンが唱えたのは「適者生存説」であり、必ずしも優位の種…

ASDと統合失調症

自閉症スペクトラム障害(ASD)と統合失調症の類似性が指摘されている。ASDと統合失調症を見分けることは非常に難しく、ASDの概念が浸透していない過去の時代においては、ASDが統合失調症と誤診されたことも多かったらしい。また、ASDの2~3%の割合で、両者…

シネステジア(共感覚)

外部からの刺激に対して通常の感覚だけでなく、異なる種類の感覚を同時に感じる現象をシネステジア(共感覚)というのだそうだ。例えば、「ド」は白、「レ」は黄色など音を聞いて色を感じたり、数字などの文字を見て色を認識したりするのだという。中には、…

ASDの具体的特徴について

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、「社会性及びコミュニケーションの障害」と「こだわりの強さ」を特徴とする発達障害であるが、田淵俊彦・NNNドキュメント取材班『発達障害と少年非行』は、東京都自閉症協会の定義を参照しつつ、ASDの特徴について具体的で…

映像記憶とサヴァン症候群

ダスティン・ホフマン主演の映画『レインマン』には、モデルがいるのだそうだ。重度の知的障害の脳障害のあるアメリカ人キム・ピークという人だ。彼は膨大な情報量を瞬時のうちに記憶することができる人で、9000冊余りの書籍を細部にいたるまで暗記していた…

稗田阿礼とサヴァン症候群

『古事記』の序文には、その成立について、天武天皇に舎人として仕えていた稗田阿礼という人物が、28歳のとき、記憶力の良さを見込まれて、古くから大王家に伝わった『帝紀』と『旧辞』の誦習を命ぜられたと記されている。奈良時代に入って元明天皇の詔によ…

ASDと感覚過敏

自閉症スペクトラム障害(ASD)には感覚過敏がしばしばみられるという。感覚過敏には、普通は気づかないようなものを見つける「視覚過敏」、大きな音や特定の音に過剰な反応を示す「聴覚過敏」、特定のものに触り続けたり、逆に特定の感触が苦手でそれを避け…

ASDの「自閉」について

臨床の場面においては、自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴である「自閉」、すなわち「社会性、コミュニケーションの障害」が鑑別点にはならないことが多いという。ADHDと区別することが難しいのだそうだ。 ADHDの人はもともと対人関係は良好なことが多い…

ADHDと治療薬について

ASDの原因が脳機能の障害とされるのに対して、ADHDの原因は脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンとドーパミンが適切に働かないことだとされる。それらの脳内神経伝達物質がうまく働かないことで、集中力、注意力のコントロールがしにくくなっているとす…

ADHDの「衝動性」をめぐって

ADHDは「注意欠陥多動性障害」と訳される。最近では「欠陥」という語がよくないというので、「注意欠如多動性障害」と呼ばれることが多いようだ。「欠陥」も「欠如」もあまり変わらないと思うのだが・・・。 ADHDはその名の通り、「不注意」と「多動」を主な…

男性ホルモンとASD

自閉症スペクトラム障害(ASD)の有病率には男女差があり、男性が圧倒的に多いのだという。アメリカ疾病対策および予防センターのASD調査では、8歳児1000人のうち、男26.6人、女6.6人とかなりの差がみられた。 ASDの男女差については,ASDの根底には極端な男…

人工授精と自閉症スペクトラム障害

自閉症スペクトラム障害(ASD)のは、現在、脳機能の障害であるとされ、有効な治療薬はないとされている。脳機能に障害があるのは、遺伝的要因、親の高年齢、母親の疾患、妊娠中の服薬、妊娠・出産時のアクシデント、不妊治療などさまざまな原因が考えられる…

オキシトシンと自閉症スペクトラム障害

自閉症スペクトラム障害(ASD)との関連でオキシトシンという脳のホルモンが注目されている。NHKの「ガッテン」でも取り上げていたが、オキシトシンは「ハッピー・ホルモン」ともいわれ、他者への信頼や愛着、社会性の形成に大きく関連することがわかっいて…

自閉症スペクトラム障害という概念について

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、「コミュニケーション、対人関係の持続的な欠陥」と「限定された反復的な行動、興味、活動」を主要な症状とする、「発達障害」の1つである。従来は三つ組などといわれ、「社会性の障害」「コミュニケーション(言語・非言…

発達障害という概念について

「発達障害」とは、単一の障害名ではない。「自閉症スペクトラム障害(ASD)」のほか、「注意欠如多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」などを含む大雑把で包括的な概念であり、それらの総称である。 総称にすぎない「発達障害」という言葉が使われるのは…

自閉症スペクトラム障害について

1. 自閉症スペクトラム障害 自閉症スペクトラム障害(ASD)は、「コミュニケーション、対人関係の持続的な欠陥」と「限定された反復的な行動、興味、活動」を主要な症状とする、「発達障害」の1つである。従来は三つ組などといわれ、「社会性の障害」「コ…