特別支援の不思議な世界

高校教師だった私が特別支援学校勤務をきっかけに知ったこと考えたこと

学習障害(LD)と教科の授業

学習障害(LD)について理解するためのメモである。高校現場での利用に資するために、岩波明発達障害の子どもたちは世界をどう見ているのか』(SB新書:2023)によって、学習障害(LD)の子どもたちが小学校の国語・算数の授業で抱える問題について、まとめておく。高校の現場でも参考になると思われる。

《国語》

▢ 読むことが苦手で、正しく読めない。

▢ 読む速度が遅く、正確でない

▢ 読み間違うことが多く、自分で変えて読んでしまう。

▢ 読めても、意味を理解していない。

▢ 単語の区切りがわからない。

▢ 文字を抜かして読む。

▢ 文字を正しく書けない。

▢ 書き取り・文章・作文を書くことが苦手。

▢ 漢字の部首(へんとつくり)を間違う。

▢ 複数の読みがある漢字に対応できない。

▢ 句読点など、文法に誤りが多い。

▢ 同じ音の表記に誤りが多い。

▢ 文章のルールがわからない(主語が抜ける、「てにをは」の誤りなど)。

読字障害・書字障害とも知覚認知に関係ある部分についてはそのメカニズムを理解しやすいが、「複数の読みがある漢字に対応できない」や「同じ音の表記に誤りが多い」などが生じるメカニズムについて今一つすっきりと理解できない。

 

《算数》

▢ 数の概念が理解できない。数式や記号の意味がわからない。

▢ 暗算ができない。計算の時に指を使わないとできない。

▢ 数字の桁が理解できない。

▢ 繰り下がり、繰り上がりがわからない。

▢ 九九を暗記しても応用できない。

▢ 文章問題が苦手、わからない。

▢ 応用問題、図形問題がわからない。

「数字の桁が理解できない」とはどのようなことだろうか。十進法が理解できないということだろうか。「九九を暗記しても応用できない」とは機械的な暗記はできるが、かけ算のしくみや意味が理解できないということだろうか。