特別支援の不思議な世界

高校教師だった私が特別支援学校勤務をきっかけに知ったこと考えたこと

自閉症スペクトラム障害という概念について

 自閉症スペクトラム障害ASD)は、「コミュニケーション、対人関係の持続的な欠陥」と「限定された反復的な行動、興味、活動」を主要な症状とする、「発達障害」の1つである。従来は三つ組などといわれ、「社会性の障害」「コミュニケーション(言語・非言語)の障害」「想像力の障害(こだわり)」の3つが基準とされてきたようだが、「社会性の障害」と「コミュニケーションの障害」は1つにまとめて考えてよいだろう。

 自閉症スペクトラム障害ASD)という言葉は、アメリカ精神医学会が2013年に発表した「精神疾患の診断・統計マニュアル(第5版)」(DSM-5)による診断名である。従来の自閉症アスペルガー症候群を包括する概念であり、DSM-4の診断基準で用いられた「広汎性発達障害」とほぼ同義であるといってよい。スペクトラムとは、「連続体」という意味であり、軽症の人から重症の人まで、様々なレベル・様態の人が広汎に分布していることを表している。

 

岩波明発達障害』文春新書2017

平岩幹男『自閉症スペクトラム障害岩波新書2012