特別支援の不思議な世界

高校教師だった私が特別支援学校勤務をきっかけに知ったこと考えたこと

側わん症について

 新型コロナウイルス感染症拡大のため、学校の始まりが遅れているが、今年度は側弯のある生徒を担当することになっている。側弯のある生徒については、前任の支援学校でも担当したことがあるが、手術によってかなり改善された生徒だった。今年度の生徒はまだ手術しておらず、その意味でも基本的な知識をまとめておきたい。

 本来、真っ直ぐな背骨が、側方(左右)に曲がってしまった状態を側弯症という。側弯症は、特発性側弯、先天性側弯、症候性側弯(病原性側弯)などに分類され、日本での発生頻度は1~2%である。原因不明の特発性側弯症が全側弯症の60~70%を占め、思春期の女児に発症する思春期特発性側弯が最も多くみられる。

 側弯は早期の治療が必要である。「コブ角」と呼ばれる側弯の角度を指標に治療が進められる。

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 コブ角が25°未満の軽度な側弯の場合は、定期的な検査で経過観察を行う。リハビリなどによって筋肉の緊張を緩めたり、背骨の柔軟性を改善することで腰痛などが楽になることはあるが、側弯自体を治療することは難しい。

 コブ角が25°~45°の中程度の側弯や進行の可能性が高い側弯の場合には、装具療法を行う。脇の下からお尻まで覆う大きなコルセットを用いるが、大きく硬いコルセットを用いるため、窮屈な上、ほぼ一日中装着していなければならず、嫌がる人が多い。装具は、成長が完全に止まるまで継続して装着しなければならない。装具の治療効果はあるが、側弯を完全に矯正することは難しい。

 重度の側弯の場合には、腰痛だけでなく、神経が圧迫されることで下肢に症状が出現したり、内臓が圧迫されて消化器や呼吸器障害などの異常が出現したりすることもあるため、手術療法が検討される。変形した骨を削って神経の圧迫を取り除く「除圧術」や、自分の骨や金属を用いて背骨を矯正・固定する「固定術」などが行われる。

 

HP「腰痛の専門医によるアドバイス

HP「日本整形外科学会